桜散る下の息吹

病み上がり
久々に出た外の大気は
暖かくやわらかく
しかし未だ
冬の名残りの清涼さを保っていた

公園の桜の下では
ツバの大きい帽子をかぶった女性が
ベビーカーをひいている

一陣の風が
桜の花びらを散らす

華奢なお母さんと
生まれたばかりの赤ちゃんに
降りかかる
桜の色の淡さに

おぼつかない命が
この場所にあるのが
たまらなく
愛おしく

私はこの気持ちを
かつてどこかで味わっていたような気がした