出発前夜

長い旅に出る

見たことのない風景
会ったことのない人々

不安より期待が大きい

旅は非日常
現実からの逃避

煩わしい全てを振り切って
未知へ己を放り込む

収穫など期待しない
よい思い出など願わない

しかし
旅に出ることは
前を向くことで

不確定に身を投じる快楽と
少しの自棄が
若さを思い起こさせる

眠気と気怠さに襲われながら
朝もやの中で
列車を待つ

そのとき
胸に吸い込む大気が
旅の中にいるのを
私に教えるだろう