マブタの裏

暗闇という言葉があるけれど

目を閉じても
真暗で何も見えないワケではなく
目蓋の裏なのか何なのか
名状しがたい模様が
目に映っている

それは黄色や緑のような
線や点のような
チカチカするような
何かではあるのだが

はっきりとした形を取っているわけではなく
断定できるものではなく
言語に置換できるものではない

子供の頃から
不思議だと思っていたが
今でも分からない

子供の頃は
いづれ分かるようになるだろうと思っていたが
今では分かろうとする気もしなくなった

だいたいこんなもんなのだろうと高をくくり
分からなくても不安ではないし
分かっても人生が一変するわけでないのを知っている

而して
目を閉じるだけで
一秒もかからずに
抽象的な映像が広がり

自分に理解できない世界と隣り合わせになるのは
悪いことでないのは分かる