暴風雨

一面の草むら
遠くに海

曇天の中
ゆっくり歩いて行く

風は強まり
ちらつく雨

ビニール傘が煽られ
骨が裏返る

草原の向こう
草をなぎ倒しながら
風は吹いてくる
雨は横から頬を打つ

傘は壊れ
ビニールは破け
バタバタはためく

逃げる場所なく
棒立ちで
雨風に晒され
敗者のように俯いて
なお歩く

自然はヒトを容赦せず
雨も風も
まだ強くなり

私は真直ぐ歩けない

濡れていない場所が
見つからなくなった

雨粒は
激しく
私を痛めつける

臨界に達した刹那

もっと吹け
もっと降れ
俺をおびやかせ

私の理性は
雨中にかき消され

ただ降りしきる雨に
ありったけの声を
ぶつけた