広い世界の小さな私

世界は
広く広く拡がり

私は
小さく小さくなって

広大さに怯え
何もできない

世界を小さく区切り
箱庭の王様となって

得意気に振る舞うには
広さを知りすぎた

何もかもが
ちっぽけで

ここに書いている文さえも
取るに足らないと
分かってしまう

世界は広く複雑で
私は悲しいほど無力で
挫けそうになる

だけど
文を書くことを止められないのは

ちっぽけだけど
いまここにいるのが
大切だからだ

放り投げるには
あまりにも

あっけなく
もったいない

世界の
隅の隅にいるとしても

箱庭にせず
広さに開いて

ここに在る

ふきっさらしの
風に吹かれても

嵐や日照りに
晒されても

ここに在る

ただ在ることで
きっと世界も拡がる