ぼうふらの誕生日

澱んだ水のなか
クネクネと
身をおどらせ
はね回るぼうふらよ

この寒さでは
冬も越せまいに

おまえは
今日生まれて

何日も経たずに
死んでゆく

おまえの親は
おまえの行く末なんぞ
考えていなかった

ただ産むことだけ
産んで死んで

代わりのおまえが
水のなかにいる

意味など無く
ただ解き放たれ

この小さな
発泡スチロールの箱を
己の世界とし

少しの自由を謳歌して
死んでゆくしかない

おまえに
意味なんかない

おまえは
ただの命

あまたの
生まれては消えゆく流星

だから
祝福しよう

おまえが
今日生まれて

死にゆくまでに与えられた
この時を

おまえが
ここに生きている

今日という日を