失われゆく言葉の傍観者として

先週の勤労感謝の日
居酒屋の親父がこう言った

今日は旗日だからはやく開けたんだ

旗日
何十年も聞いてない

自分自身で掲げたことはないけれど
祝日に国旗

青い空にはためく日の丸
脳裏に浮かび
きれいだと思った

こんな慣習も
こんな言葉も

使われなくなって
表舞台から消えてゆく

古く馴染んだ言葉
実感を込めて
使える言葉

どんどん失くなって
新しい言葉に置き換わり

我々はよそ行きの
漢語か横文字の単語に
支配されていく

それは仕方ない
そうかも知れない

言葉は移りゆくもの
変化しないと淀むもの

だから
旗日が使われなくなっても
しょうがない

意地を張り
古き良きを守るなんてガラじゃない

氷かき
麦踏み
お月見

情景が脳裏に浮かぶ
数々の言葉

傍らに立ち
何もせず

失われるまま
消えゆく余韻に
ただ浸る