水温む朝

厳寒の朝
歯を磨けば

口をゆすぐ水が
歯に沁みる

今日の朝
同じく水を含むと

あれ
ぬるい
冷たくない

意外な変化に
春を思った

季節は巡り
知らず知らず

我々の
時は進んで

気づけば
すでに目の前に迫っている

ゆっくりと
しかし止まらず

微細な変容の重なりが
陽を長く伸ばし
気温を引き上げて

草木も呼応し
鳥も虫も獣も

命を漲らせる時を
虎視眈々と狙い

春の荒天は
大地にたなびく