シャボン玉落つ

夕暮れの街
ビルの谷間

風は止み
熱が底に溜まる

上から
大きなシャボン玉ひとつ

落ちてきた

まっすぐに
ゆっくりと

頂も見えぬ
ビルの上から
街の底に

シャボン玉だけが
落ち続け

人も
車も
街も
時間さえも

止まり
時空のエアポケットに落ちて

音も色も
感じなくなって

ただ
シャボン玉を
見つめたのだった