劣現実

風来坊に居場所はない

 

西から東

旅から旅へ

 

そんな浮草稼業は

空想へ果てた

 

風は止まり

シャボン玉も

赤い風船も飛ばない

 

ただ踞り

引きこもって

 

海も山も知らず

世界は狭まり

 

行き場を失い

窮屈に押し込められた精神は

 

ひたすらに異物を押しのけ

排除するだけ

 

狭い狭い

箱の狭さに気づかず

 

囲まれた檻の中で

自由を謳う愚か者

 

地の果てまで

走る意思もないのに

 

世を俯瞰した

気持ちだけ持つ

カメラの眼