死んで赤飯

人の不幸を願うのは

悪徳とされているけれど

 

私の好きな人は

大嫌いな奴が死んだ日に

赤飯を炊いて喜んだ

 

その喜び様が

あまりに明るくおおらかで

 

こっちまで

楽しくなってくるほどであった

 

嬉しそうに

愉快に

 

死んだ

死んだと叫んで

はしゃいで

 

酒を飲んで

踊って回るのであった

 

こんなに

人を喜ばせるのなら

 

死んだ価値も

嫌われた甲斐もあったであろう

 

それは

黒い服着て

しかめっ面で

 

神妙な態度を取りながら

内心では

面倒くさがっている

 

葬儀に参列した

世のまっとうな人々の偽善より

 

よほど優れた

追悼である