ゴキブリカラカラ

ゴキブリを箸で摘んで

コーヒーの空き缶に入れた

 

カラカラ

カラカラ

 

カラカラ

カラカラ

 

缶の中で

動き回る音と

 

振動が

伝わってくる

 

生命の音

生命の震え

 

このまま

缶は

二度と開けられることなく

 

ゴミとなって

消えてゆく

 

命を弄び

だが

殺さぬわけにもいかず

 

密閉し

放置して

目の前から消した

 

あの音だけが

必死な

足掻きだけが

 

悲しく響き

 

やがて

失われる

 

ほろ苦い

記憶とともに