無意味からの逃避

姿なきものを生み

意味なきものに

意味を見出す

 

森羅万象を

人の生き様に落とし込み

 

ただ過ぎていく現実に

さぞ深淵を覗いているかのような

心へのアプローチを試みる

 

言葉の錬金術

 

はじめに意味があったのではない

 

意味を生み

意味を問い

意味に価値を置いた

 

積極的な

動機によってではなく

 

無意味に耐えられない

心の作用によって

 

達観も苦悶も

世界を動かす訳もなく

 

何気ない日常と

非日常の興奮と悲嘆と

 

違いを生み出すのも

違いを無視するのも

 

人の選択により

どこまでも

世界は描かれる

 

一本の枯れすすきが

恐怖の対象となろうとも

 

燃え盛る炎に

愉快と爽快を見出そうとも

 

それは

人が作り出した

意味作用の張りぼて

 

山の奥で

今も獣が吠えるのと

変わりはない

 

何かが出来ることに

期待するよりも

 

何も出来ないことから

逃避したい思いのほうが

はるかに深刻