雨に打たれて

雨に打たれると

かなしい

 

冬の冷たい

雨に打たれて

 

吐く息は白く

視界は狭まる

 

靴の中に

襟元に

 

雨は染み込んで

冷たく

何も抵抗できない

 

打たれながら

歩き

 

冷気と露は

浸食し

 

体の芯だけが

熱く

 

ますます

心は閉じこもっていく

 

歩く

 

雨に打たれて

歩いて

 

己の芯だけを頼りに

 

朧気な景色の中

ただ一人

 

何も持たず

 

降り注ぐ

雨の音を聞いて

 

濡れ鼠の

冷たさとともに

 

終わりない

世界を

歩き続け

 

疲れ切った

心に

 

いずれ

火が灯ることを

願う