小さな世界のために

 無力に苛まれ、己を諦めていたうち、自責と自棄の念はますます膨らみ、己が無のまま終焉することの恐怖が募った。生に意味を見出だせず、朽ち果てゆく自分を想像し、何もかもが失われ、滅びるだけの残りの時に、絶望を感じながらも、歯痒さといたたまれない口惜しさが湧き上がった。

 わたしは何をしたかったのか。

 何ができたのか、できなかったのかではなく、意思を省みなければ、このまま死にたくないと思った。

 金や名誉や毀誉褒貶を手に入れても、虚しくなるように思っていた。享楽に耽る機会は、これまでもあった。今さら、それら一時の浮かれ事に己を賭けたいとは思えなかった。

 自分自身の納得する行為を見つけたかった。それが周りから愚かに見えようと、気にせず埋没できる覚悟はあった。時は限られ、老いを感じ、完結が見えずとも、この先を生きていけると思える何かの希望にすがりたかった。