そう書いた
しかし紙は無限じゃない
宇宙のように大きくない
肉体に限界があるように
紙の数にも限りがあって
私は安心し落胆し
諦観する
限りない浪費よりは
終末を予感しながら
緊張を持って生きるほうが
マシなのだろう
地の果てまで書きなぐって
何が何だか分からない模様を残すより
紙を綴じて一つの作品を生むほうが
マシなのだろう
読むなら綴じた本
一つのまとまり
だけど
それは読み手にとっての都合にすぎない
読んでくれる人がいると信じ
公共の世界が存在すると信じて
本は成立する
本は人に読まれる
面白い本もつまらない本もある
だけど
書き手にとって大切なのは読み手なんかじゃない
美しい本だって
バラけた紙切れだって
読み手からどう見えようと
自分にとって大切かどうかを考えろ
さもなければ
自分の人生が立派なのかみすぼらしいか
他人に決めてもらうことになってしまうのだから
紙切れに一生懸命書いて
それを読みたい人間が読めばいいのだ