縁側の猫

子供のころは
今よりいろんなものが街にあった

ごみごみした小路
野良犬
浮浪者
やくざ
たちンボ
露天商

吹き溜まりのように集まってきて
肩身は狭いながらも
見える所にいた

彼らの存在は許されていて
危なっかしくても
少し怖くても
私たちは世の中からはみ出ていられた

あれから思えば
今の街は清潔だ

ホームレスは排除され
子供がうるさいから保育園は作れない
野良犬どころか
猫だって去勢や避妊手術をして
家の中で飼えという

世の中に良くないものは
徹底的に粛清されてしまった

汚いものも
迷惑をかけることも
許されない

おばあちゃんが猫と縁側で日向ぼっこする
そんなことも出来ない世の中になってしまったのか