雑踏の中の憎悪

無関心がひしめく街頭で
それぞれに揺れ動く個体が

怒り
哀しみ
苦悩し

嫉妬と劣等感を抱え
それでも群れを離れずにいる

負の情動を
解き放つ機会を窺い

だが行動せず
転換と欺瞞を繰り返し
自己を保存する

如何に生きようが
人の勝手で
人はみな一人なのに

一人でありたいと願う人間は
あまりに少なく
一人であろうとするのは
あまりにも厳しい

忘却せよ
暴力的精神によって自己を剥離し
ただ生きることのみを考えよ

生きて死ぬ前に
己を忘却できるように