まずい

田舎のバスターミナル
古ぼけた食堂

埃の積もった雑誌の山
饐えた匂い

現実離れしたテレビの音声
流れ込んでくるバスの排気

茶色くなったご飯
ぬるいみそ汁
魚のフライは
冷えて固い

ああ不味い
こんなに不味い飯を食ったのは初めてだ

そもそも
外食に物足りなさがあっても
不味いと思ったことはない

息を止めて
飯をかき込む
みそ汁を飲んで
胃に落とし込む

不味くて
不味くて

頑張って食べて
バスに乗り込んだ

シートにへたり込み
胃や腸を
いささか憐れみながらも

難敵と格闘し
エネルギーを振り絞った心地よさで
私は元気になり

あの街がますます好きになった