家に篭る
十万年も百万年も昔から
生き物は雨宿りして
天気を待つ
暴力的な降雨は
行動の自由を奪い
屋根の下
不安と鬱屈を抱えながら
有閑を持て余す時は気だるく
ただ待機せねばならぬ
拘束の一日は
怠惰で甘美である
幼い頃
風邪を引き
昼から布団に寝転んで
倦怠感と
大っぴらにだらけることへの免罪と
非日常に心が躍った
記憶を思い出し
今日の私は
台風がもたらす非常時を
享受して
荒れ狂う窓の外を眺め
温かい布団の中にまどろむ
快楽に身を浸そう