堕ちてゆく町

錆びたトタン屋根の群れ
奥に煤煙上る煙突

誰もいないアーケード街
雨が漏り
蛍光灯は点滅する

さびれて
すたれた

鉄と石炭がもたらした
華やかなりし過去が
荒廃を際立てる

堕ちてゆく町

傾いたバラック
寄りかかり合い

かろうじて
形を保つ

その屋根には
猫が大の字に
だらしなく昼寝している

人の気配なく
どこまでも
風に吹かれ

着いた酒屋の軒先で
一人
腰の曲がった爺が
焼酎のコップを握り
手を震わせる

人も町も老い
動きを失い

沈黙の中に潜るように
静けさに徘徊する

人はいない
ただ残り香がある

鼻腔に染み込んでくるような