追いかけてくるカラス

道端で目が合った
カーッと鳴いて電柱へ

振り返る
こちらを見ている

チョコチョコ歩き
私を視界におさめ

電柱を渡り
追ってくるカラス

追われる不安
振り返り
足を早め
振り切れず

そわそわと
長い一本道を歩く

見られること
視線を浴びて
歩くこと

無機質な鳥の目
鳴かない不気味

歩むうち
不安はうすれ

何事もなかったように
平穏を取り戻す

ただ
あの小さな目だけが
私の心に宿り

今日という
何もない日を際立たせ

名もない視線の交差を
心象に刻んだ

意味に至る前
ただ写象が在った