木造の艶

階段の手すり

手が触れ
汗と脂が染み
磨いては
汚れ

人の一生を越えてなお
毎日使われて

鈍く
輝き

滑るような
光沢を放つ

人に触れた時間と
磨いた手間が
重なり

ただの木片が
艶を帯びた

捨てられず
壊されず

使われることが
大切な存在の証で

摩耗し
古びてゆくのが

決して
劣化でなく

積み重なった
人と時が

愛しさを思わせるのだと
教える