暮れる影

つるべ落としの
秋の陽

夕は
すっかり暗く

人は長く伸びた
影を背負い

顔も分からず
歩き回る

この影
一つ一つに

人生があり
人は命を抱いて

ここに居ると思えば

世界の豊かさが
人の光と影が

そら恐ろしくなり

目を落とす

影は濃く
闇と一体になって

足元はもう見えない

見えないから安堵して
落ち着いて
再び顔を上げれば

もう闇が全て覆って

時折訪れる
自動車のヘッドランプが
流れるだけ

このまま
日が暮れて

明日が訪れるだけ