哀しきマッチョ

折り合わず
わが道を一人歩き

仕事帰りに
バーベルを上げ

ダンベルを振り回して
疲労困憊

酒は飲まない

ささみにブロッコリー
タッパーに携え

いつももぐもぐと
口を動かす

誰かに体を見せるわけもなく
習慣という
味気ない日常に身を浸し

猫を相手に
ポージングしている

茹でた鶏肉を
猫と一緒に食べ
一緒に寝て

朝起きたら仕事

そしてまた
ジム通い

彼の筋肉は
行き場もなく

ただこの世を彷徨い
意味なく
肥大し続ける

それだけが
彼の拠り所だから