今日のかぐや姫たち

夢も目的も見失えば

現実はただの虚無でしかなく

 

努力だの

積み重ねだの

向上だの

 

己を変える労力が

白々しく

 

真っ逆さまに

堕ちてゆくだけ

 

そんな終末に向かうだけの人生には

過去の記憶だけが拠り所

 

美しくも

はかない

若かりし日々の夢

 

叶わなかった希望が

甘く

苦く

彼の心を囚え

 

まどろみの中で

反芻するうち

 

彼は過去の住人となる

 

改竄できぬはずの

記憶が移り変わり

 

現実までも

ズレてゆく

 

廃屋の腐った畳の上で

豪華な宮殿暮らし

 

エリートで

賢くて

一流の血統

非の打ち所のない経歴の持ち主で

 

いつか

海の向こうからやってくる

本当の家族が

 

自分を素晴らしい場所に

連れ帰ってくれるのだと

心待ちにしている

 

そんなかぐや姫たちは

貧民窟に蠢いて

 

酒を飲みながら

己を哀しく演出している