山月記症候群

己の望まぬ姿に

変わり果て

 

こんなはずではなかったと

過去を憂い

 

過去に囚われ

残り少なってゆく人生を呪う

 

自惚れていた

怠惰だった

 

己が悪いと

自嘲を繰り返し

 

自分を責めては嘆き

堕ちてしまった今と自分に

哀しく酔っている

 

馬鹿な自分

駄目な自分

 

責めれば責めるほど

過去を辛いもので塗り固め

不幸な自己像を作り上げては

 

可哀想だ

ああ可哀想だと

 

己を慰め

何もせず

現実逃避を続ける

 

それはもう

陶酔である

 

自分のことだけ考え

まるで被害者であるかのように

かわいそうでいられるのだから

 

あまりに気持ちよくて

毎日毎日泣いても

泣き足りない

 

人でなし

虎になろうとも

 

自嘲癖に酔い続けて

やめられないのだ