旅心を得る時

旅に出ても

仕事の葛藤
人間関係

日常の煩わしさは
ついて回り

いづれ戻る
普段の生活を考えて

鬱々として
旅の今を楽しめない

だが
何かをきっかけに

日常から解放され
憂さを忘れられる時がある

それは
日帰りの旅行で得られることもあれば
一ヶ月かけても駄目な旅もあり

不意に
心に現れる

バス停で
風に揺れる草木を眺めた時

旅館の風呂で
立ち昇る湯煙に見上げた時

ローカル線で
夕陽に照らされる雲が流れる時

心に紐づいた日常がほどけ
心配事が気にならなくなって

旅の空で
ぽかんと
口を開けていられる

無防備で
幼児と老人のような
呆けと恍惚が混ざったような

幸福の下での
思考停止

ああ
わたしは
旅のきたのだ

と実感できた瞬間