車窓の夢想

電車は
様々な人が乗って
多くの夢を運んでいる

この大きな動く箱で
移りゆく景色を眺め

次々現れては消える家々と
住む人の分だけ
そこにある欲望を
通り抜け

カタンコトンと響く
枕木のリズムに
まどろみながら

日常を抜けた安堵と
たどり着く場所への期待と不安に
身を任せ

短い夢を見て

田舎道を進む

もう二度と通ることのない道
一瞬で過ぎ去る風景

どこにでもあるようで
どこにもない唯一の

時間と空間を
くぐって

車窓は
終着駅に着くまで

現実を忘れさせて
そしてまた
現実をもたらす