幻耽

蓬莱より
溢れる光

薄やかに
差し込み

浮つく塵の粒を
しめやかに照らす

暗く
動けぬ
身の回り

わずかな
明かりだけが
己の姿を映し

鈍った手先と
痺れた頭に

一抹の
安心を運んでいる

このまま
暗暮に浸り

沈静の星の下に
生き

滞留する世界に
流されていく

どこまでも
どこまでも

穏やかに
何もせず

ただ流れる
年月だけを
身に抱え

門を叩かず
声をかけず

垂れてゆく

身も心も
垂れて
醸されて

溶けていく
冬の夜