奇妙な朝の邂逅

まだ暗い
早朝の散歩

人影少なく
空気澄む

信号を渡る最中
すれ違った男が

ワアァッッ!!
と脅かしてきた

ふえぇえ
変な声を出した私

それっきり
男は去っていった

と思いきや
二三分後

同じ男が
追いかけてきて

にいさん
一緒にキャバクラ行かない?
と言う

行かない!!

強い語気で
応えると

またね~
とニコニコ手を振って

男は駅に歩いていった

早朝の不審者
悪趣味な愉快犯

ろくなもんじゃない

犯罪と言われても
おかしくない

ひどい邂逅
散々な一日のはじまり

ところが
そうでもない

あの男
なぜか憎めなかった

どうして憎めないか
考えてもよく分からない

だけど
あいつ

どこか
人恋しくて

さびしかったんじゃないかなぁ