あいりん地区にて

人々が蠢き
目的もなく
徘徊する

炊き出しの行列
もらったおにぎりと味噌汁

食べながら
再び行列の最後部へ
並ぶ

繰り返し
腹が満ちれば

道にたむろい
あてもなく
時を過ごす

肩書きも
意味もない

命だけの存在が
そこにあって

生きる目的もない
意志も意欲も
今日の予定さえも
ない

張り合うことも
頑張ることも
しなくていい

代わりに
未来も
固有の私も
差し出して

ただ
生きる街

酒と博打と
飯の欲望だけが残り

全てを受け入れ
無為に落とし込む

心安く
哀しい街