納税の鉛

確定申告
長蛇の列

納税など
面倒な手間

ただ並ぶ
無機質に

言うなりになって
文字を打って

待って
並んで

また並ぶ

人の列は
沈黙し

個性を剥奪された
のっぺらぼう

こんな場所に
自分らしさなど
求める意味はなく

社会勉強の一つだったのも
最初の数年

何も得ず
何も期待せず
ただ己を押し殺し

たいして長くもない時間を
耐える

そして世の中は回る

通勤電車も
納税も
選挙も
多くの制度も

この縮図の中で機能して

無個性で
大量の人の群れを

機械的に処理するために
出来ている

その中に入ってしまえば
誰もがただの肉塊

列に従って
徘徊するだけの

無抵抗で
無思考な存在

ところどころで
人は枠に嵌り

人生を
切り売りして

この場所に
留まっている