飲み屋のやくざ

いつもの居酒屋に
たまに来る
やくざの親父

毎回
違う女性を連れて
飲み歩く

歳は50すぎ
顔は良くない

それでも
モテる
このやくざ

粗暴で
強面で

世間から
冷たい視線を浴び

悪者として
排除される

良いとこなんか
一つもない

だけど
人の魅力とは

法律やルールなんか
無関係で

なんであんなやつがと
思うようなのが
人を惹きつける

怖いけど優しい
馬鹿だけど正直
犯罪者だけど好き

当たり前だ

世の中の絡み合った
人情の機微

一本調子じゃ
まとまらない

こっちじゃダメでも
あっちへ行ける

99が上手くいかなくても
残りの一つで勝負できる

数限りない抜け道が
網の目のように
入り組んで

きれいじゃなくても
正しくなくても

生き抜いていける

だから
安心する