銭湯に集う老人
着ている服も
動く体も
ヨレヨレ
力なく
身を震わせ
メリヤスの襦袢を
気の遠くなるほど
ゆっくり
脱いでゆく
不格好で
不器用
そのくせ
口は達者
大きな夢など語るには
もう恥ずかしい
歳を取りすぎている自覚と
未だ捨てきれぬ野望
軽口をきいて
誤魔化しては
弱音を吐き
気が大きくなれば
戯言のような虚勢
年老いてゆく男たちは
残る時に追われ
ヨボヨボの体を抱えながら
今日も銭湯にやって来る
ヘロヘロになって辿り着いた
安寧の時空に