愛すべき老父たち

休日の午後
銭湯に集う老人

着ている服も
動く体も
ヨレヨレ

力なく
身を震わせ

メリヤスの襦袢を
気の遠くなるほど
ゆっくり
脱いでゆく

不格好で
不器用

そのくせ
口は達者

大きな夢など語るには
もう恥ずかしい

歳を取りすぎている自覚と
未だ捨てきれぬ野望

軽口をきいて
誤魔化しては
弱音を吐き

気が大きくなれば
戯言のような虚勢

年老いてゆく男たちは
残る時に追われ

ヨボヨボの体を抱えながら
今日も銭湯にやって来る

ヘロヘロになって辿り着いた
安寧の時空に