コンビニ飯の幸

コンビニエンスストア
イートインスペースで
コーヒを飲んでいると

若い男が一人
カップラーメンを抱えて
入ってくる

湯を満たし
時を待ち

いなり寿司に唐揚げの
封を切る

ようやく
割り箸を取り出して

カップ麺の蓋を開け
タレを混ぜた

この時代
コンビニで一人の晩餐

さびしいような
わびしいような

切ない食事風景に
都会の砂漠の荒涼を思うが

当人は
喜色満面

スマホ片手に
ラーメンを口一杯に頬張り
いなり寿司をパクついている

それがなんとも
旨そうで
満足そうで

ついぞ見たことのない
幸せそうな姿

そう
人の幸せは

くだらないレッテルで
決まるものじゃない

立ち上る
ラーメンの湯気に

人の生きる
喜怒哀楽が透けて

生命が
再び視界に入った