空泳虚夢に落ちて

夢の中で
泳いでいた

空を飛ぶように

子供の頃に遊んだ
裏山を

ゆっくりと上がり
てっぺんを

空から眺めた

ドローンの映像と同じに
山の上を泳いで

懐かしい土地を
新鮮な気持ちで

見たことも風景を
眼下に

少しづつ
味わうように

・・・
夢の中のわたしは
問題を抱えていた

何か分からないけれど
深刻な問題を

泳ぎ回り
高い木に腰掛け

気が晴れて
悩みは解決した

それは
黒いごま豆腐でつくった
麻婆豆腐

真黒な四角
口に入れれば
胡麻の香り
強烈な甘さ

大成功
非の打ち所なし

自分に酔い痴れた

だが
私以外の誰もが
胡麻豆腐麻婆を
否定するのだった

不思議な気持ちで
私が再び味わうと

それは
やはり不味いのであった

私は納得した
それでも
この料理を
止める気にはならなかった

空で泳いだ
気持ちを忘れたくなかったから