臭う浴場

ああ
今日もまた

いつもの銭湯で
誰かが
糞を漏らした

嗅ぎ慣れた悪臭
老人どもへの嫌悪

誰かと
同じ浴槽に入るのも
気持ち悪くなる

それなのに
銭湯通いを
やめる気にならない

人の老いの
哀しい匂いが

うらびれた
都会の裏町に流れて

諦念と
衰弱と
郷愁に似た

セピア色にくすんだ
どうしようもない
せつなさをかき立てる

もはや
擁護も出来ない
絶対的な悪臭

他人のことだと
軽蔑する余裕も

そのうち
なくなる

ただ
避けられない

苦相の場