時のブランコ

誰もいない公園で
老婆が一人
ブランコを漕いでいた

前に
後ろに

ブランコが
揺れるたび

時は遡り

老婆は少女になり
そしてまた
孤独な老婆であった

軋む鉄の鎖
変わらないリズム

振り子は止まず
いつまでも

老婆は
ブランコを漕いでいた

歳をとった体に
染みついたブランコの乗り方

時を越えてなお
ブランコはブランコであった

気の遠くなるような
隔たりも飛び越えて

振り子は
振れ続ける

その変化なき反復に
まどろんで
公園は時を失い

わたしは
白昼夢を見ているように
感覚を奪われていた