開かれているほど閉じて

開かれれば

開かれるほど

 

言葉や映像が飛び交い

どこかの誰かが

 

世界中に簡単に

発信できれば出来るほど

 

誰でもどこでも

すぐ読めて見つけられるほど

 

言葉は

人の目を気にして

 

安穏で波風立たぬ

歯ごたえのない

金太郎飴になっていく

 

便所の落書きでさえ

もう少し

ひねりが効いていたというのに

 

風を読み

空気を読んで

流されて

 

向かい風に逆らわず

本音はやさしく包んで

 

良い子たちの

連帯を演出し

 

同じ向きに

まめまめしく

整えられ

 

のっぺりとした

下流の川の流れのごとく

 

だらだらと

薄濁りの視界のなかで

垂れ流されて

 

反発も抵抗も

いつの間にか

飲み込まれてしまう

 

不特定多数の潮流に

揉まれるほどに

 

丸く小さく弱く

すり潰されていく