あなたを追う夢

夢の中で歩いていたのは

確かにあなただった

 

後ろ姿も

横から眺めた歩きぶりも

 

あなた以外に

考えられない

 

私は確信していた

 

あなたは

顔を向けてくれなかった

 

追いかけて

追いかけて

 

池のボートを漕ぎ

地下街の雑踏を抜けて

 

あなたの後を追った

 

湖面には

黄色く染まったイチョウの葉が浮かび

 

夕陽が世界を

黄金色に染め上げていた

 

街場には

あらゆる食べ物の香りが立ち上り

 

道行く人は

急ぎ足で家路へ向かう

 

あなたを探して

どこまでも追いかけたけれど

 

いつの間にか

そんな初期衝動は無くなっていた

 

わたしは

世界を泳ぎ回っていた

 

だけど

あなたの顔が見えなかったことが

 

胸の隅で

哀しく疼いた