秋が来る夜は

秋が来る夜は

たまらなく寂しい

 

涼しい風が吹いて

セミの死骸が

街中に転がり

 

カンカン照りの日も

もうなつかしい

 

不順な天候

早くなる日暮れ

 

暑さは離れた

 

生ぬるい風は

季節の終わりに向かって

秋波を送ってくる

 

疲れ切った布団で

長い夜を過ごせば

 

終わった日々が

めくるめく

 

この涼しさが

たまらなく寂しい

 

何もせず

終わった夏は

後ろ向きに輝き

 

前には

影が長く伸びている

 

その長さが

先の方まで見えるから

寂しいのだ