小さな旅に

何十年も住む土地の

隣の街へ

 

穏やかな小春日和に

住宅街の坂を登る

 

知らない路地

未知の風景

 

すぐ近くなのに

新鮮な体験

 

漂ってくる旅情

 

小さな酒屋で

一杯引っかければ

 

気持ちは浮いて

異邦人の面持ち

 

酒はすすみ

旅の気は高まる

 

食堂でホイコーロー

若き日々を思い出して

 

帰って

酔ったまま眠る

 

こんな日であった

 

無駄な一日であった

 

何事もない

退屈をしのいだ日

 

だが

今日があって

 

私は飛んでゆけると

思った