正月のアンニュイ

あまりにも

あまりにも安定し

平穏な生活だから

 

空虚だ

 

何もしなくていい

何も考えなくていい

 

働かなくていい

動かなくていい

 

食べたいものを食べ

飲みたい酒を飲む

 

満ちて

足りて

 

幸せが抜け落ちた

 

欲が無くなって

惚けて

 

まるでペットの猫のよう

 

一日中

布団にうずくまって

眠るだけ

 

世界は狭く

つながりはなく

 

ただひたすら

何もしないでいい

 

こんな暮らしが続いたら

馬鹿がますます馬鹿になる

 

生きてる意味も

実感も興奮からも

遠ざかり

 

動物園の檻と同じ

 

でも

不幸ではないんだなあ

 

よく分からないんだ

 

薄く雲がかかって

考えるのも億劫で

 

不便もないし

苦しみもない

 

分からなくて

綿に包まれて

ぬるま湯に浸かっている

 

全部が

ふわふわの

ヌルヌルで

 

退屈だけど

抜け出したくない

 

ダメになると分かっているのに