白熱灯の羽虫になって

もう夜には

店なんてやってない

 

唯一開店している

飲み屋に人が集まる

 

白熱灯に向かう虫のように

 

隣り合い

ひしめき合い

 

杯を進め

濃厚接触を重ねる

 

他になければ

集まるのも必然

 

親父は安堵した顔で

つまみを作っている

 

コロナ

コロナ

 

この街を覆う悪夢よ

 

この店にも感染し

隅の隅にまで

地獄を塗り込めてゆくのだろうか