死人のように
動かなかった人が
頭を上げ
言葉を使い始め
顔に赤味が差す
饒舌に
愉快に
生き返った
前を向いていた
闇を抱えながらも
渦巻く厄禍を
飲み込んで
考える意思を失い
それでも
自分で生きようとしていた
おそろしく
愚鈍に見えるのであった
それが貴く
不安を隠しきれないところが
人間臭く
なるようにしかならないと
分かってはいても
強くなりきれず
いつになっても
おぼつかない足取りで
だが歩みを止めない