避暑蝿

誰もいない

夏休みの学校

 

降り注ぐ蝉の音を背に

長い廊下を歩けば

差し込む日が肌を射す

 

部屋に入る刹那

 

ドアの端に

蝿が一匹

 

隙間から漏れる

エアコンの冷風に

 

じっとして

身を当てている

 

生命のけなげさ

虫までも欲しがる涼

 

暑さが再び迫り

汗が額を伝った