匂う記憶

太陽が昇り落ち

巡る四季の有様を

説明など出来ぬ

 

理由なく

原理もわからない

 

しかし

生活も

我々の存在も

 

それなしには

成り立たない

 

磯場で

早朝に上がる朝陽

 

山の端に沈む夕陽

 

じっと見ていた

 

あの空気の匂いが

記憶ととも刻みつけられて

 

始発電車に揺られながら

今でも思い出す

 

心根の風景に

人はなく

 

自然と

街並だけが

脳裏に焼き付いて

 

いつも

懐かしい匂いを運んでくる

 

そんな匂いの元へ

辿り着こうと

 

気づけば

足掻いていた