夢は戻らない

壊れかけた

人体ひとつ

 

油切れで

ギシギシと

音を立てる

 

乱れる神経回路

痺れる末端

 

この体には

かつての

しなやかさも

躍動も

戻らない

 

大地を飛び跳ねていた

時は過ぎた

 

志半ばの夢も

心の片隅で

燻ぶらせていた野心も

 

指のあひだから

こぼれ落ちてしまった

 

今はもう

未来を憂い

終着に怯えながら

肩をすくめるのみ

 

おぼろ気で

輪郭もない

 

切実を欠いた

死の訪れを

無理に想像し

 

ほの暗く

落ち込んで

 

戻らない時を

後悔すら忘れて

噛みしめている