ネオンの谷間

自然に癒やされぬ人々よ

 

人は人を呼び

思いは猛り

欲望は肥大する

 

言葉の海に溺れ

記号という記号の中で

概念にまみれ

 

実態など

見失ってしまった今

 

ただ人のぬくもりだけが

絶対の癒やしとして

ここにある

 

怒りも哀しみも

後悔も断念も

 

ひとときの語らいに紛れ

気分がいい

 

海も山も見えない

ビルとネオンの谷間

 

人は人と寄り添い

酒臭い息を吐いて

路地を徘徊している

 

世界の末路が煮詰まった

悲しい横丁には

 

刹那の快楽を求める空気が漂い始め

ひとたび瘴気に当たれば

何もかもわからなくなってしまうのだ